慢性疼痛

症状

慢性疼痛とは国際疼痛学会(IASP)で「治療に要すると期待される時間の枠を超えて持続する痛み、あるいは進行性の非がん性疼痛に基づく痛み」とされているが、日本では明確に定義されてはいません。日本国内では「ムンディファーマ株式会社」によると、成人の 4.4 人に 1 人(約 2,315 万名)が慢性疼痛を有していることが明らかになっています。1

1 参考資料︓「痛み」に関する大規模調査「Pain in Japan 2010」-ムンディファーマ株式会社)

慢性疼痛

治療法

従来の慢性炎症による疼痛の治療法は「薬物療法」があります。「薬物療法」の場合、オピオイド(麻薬性陣痛薬)および NSAID(非ステロイド性消炎鎮痛薬)があります。オピオイドにより疼痛は改善されますが、「眠気」、「依存性」、「便秘」、「痒み」、「吐気・嘔吐」などの副作用があります。また、オピオイドを慢性的に使用すれば「内分泌系機能障害」、「痛覚過眠症」が起こるリスクがあります。また、NSAID はすぐれた疼痛緩和が期待できますが、「消化管の副作用」や「心血管系合併症」のリスクがあります。

幹細胞による治療法とその効果

幹細胞治療を行う場合には、再生医療提供機関(認定病院)において、患者様の腹部より脂肪細胞を少量(10~20グラム)採取致します。その後、当社の研究所において、「細胞の検査」「幹細胞の分離」「幹細胞の培養」「幹細胞の保管」のプロセスを経て、培養保管された患者様の幹細胞を認定病院において、静脈投与により患者様に投与致します。自家脂肪由来間葉系幹細胞を体外で数多く培養し体内に戻すことで炎症誘発サイトカインの低下および抗炎症サイトカインが増加し、炎症が抑えられ疼痛の軽減が期待されます。あなた自身の細胞を用いるため、安全性の高い治療法であるといえます。なお、あなたの生活の質(QOL)を向上させる目的として、本治療以外にも既存の治療を併用して受けることを推奨致します。

論文

1)Intervertebral disc repair by autologous mesenchymal bone marrow cells: a pilot study.
(Orozco, Lluis, et al., Transplantation 92.7 (2011): 822-828.)
細胞由来:自家骨髄由来間葉系幹細胞
試験の区分:臨床試験
参加患者数:10名(椎間板変性症の患者)
投与方法:髄核投与
【要約】
椎間板変性症の治療のため、慢性腰痛を伴う椎間板変性症患者10人を対象に自家骨髄由来間葉系幹細胞を髄核に投与した。投与は1回のみであり10±5☓106cells/discの細胞数で投与を行った。また、投与後3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月に「腰痛」、「坐骨神経痛」、「Oswestry障害指標」をVAS評価方法を用いて評価を行った。その結果は以下の表のとおりである。

評価項目VAS数値(0~100)
03ヶ月6ヶ月12ヶ月
腰痛(n=10)68.926.521.620.0
坐骨神経痛(n=6)37.024.37.85.3
Oswestry障害指標(n=10)25.013.09.47.4

また、ディスクの再生を確認するため、ディスクの高さおよび水分含量を確認した。その結果、ディスクの高さは再生できなかったが水分含量は自家骨髄由来間葉系幹細胞の投与後12ヶ月で増加していることを確認した。これらの結果より、椎間板変性症の患者に対して外科手術を行わなくても自家骨髄由来間葉系幹細胞の投与により患者の疼痛の軽減が期待できる。

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