アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎

Safety of intravenous infusion of human adipose tissue-derived mesenchymal stem cells in animals and humans.

(Ra, Jeong Chan, et al.,Stem cells and development 20.8 (2011): 1297-1308.)-「Rbio資料」

細胞由来:自家脂肪由来間葉系幹細胞 投与対象:マウス/ヒト
投与方法:静脈内投与(細胞数:マウス2.5×108 cells/kg、ヒト4.0×108 cells)

【要約】

本研究では、ヒト自家脂肪由来間葉系幹細胞の毒性と発癌性について検討している。培養したヒト自家脂肪由来間葉系幹細胞において、間葉系幹細胞の外観と免疫表現形(immunophenotype)、分化能力を確認すると共に、12代培養した結果、遺伝的にも安定であることを確認している。また、生理食塩水内の細胞は3日間、その能力が維持された。ヒト脂肪由来間葉系幹細胞の毒性を検証するため、免疫不全を起こしたマウスに、それぞれ異なる用量のヒト脂肪由来間葉系幹細胞を静脈内投与し、13週間観察した。最も高い細胞数(2.5×108 cells/kg)を投与したマウスにおいても、毒性(副作用)を認めず、生存が確認された。発がん性検証では、マウス(Balb/c-nu mouse、全身無毛症および胸腺由来のリンパ球欠乏症モデル)を利用して26週間観察した。最も高い細胞数(2.5×108cells/kg)を投与したマウスにおいても、発がんは認められなかった。ヒトの臨床試験を通じて、8人の男性脊髓損傷患者に、自家脂肪由来間葉系幹細胞(4×108cells)を静脈内投与(単回のみ)した。3か月間追跡観察した結果、ヒト脂肪由来間葉系幹細胞の投与と関連した、重篤な有害事象(serious adverse events、SAE)は認められなかった。以上より、ヒト脂肪由来間葉系幹細胞の全身性投与はがんを誘発させず、安全に投与が可能であることが示唆された。



Effect of the multiple intravenous administration of cultured human autologous adipose-derived stem cells on tumor biomarker levels.

(Ra, Jeong Chan, et al., J Clin Case Rep 2017, Vol 7(11): 1040) -「Rbio資料」

細胞由来:ヒト脂肪由来間葉系幹細胞 投与対象:ヒト
投与方法:静脈内投与(細胞数:1×108cells以上)

【要約】

ヒト自家脂肪由来間葉系幹細胞を用いた多くの治療が行われており、本研究ではヒト自家脂肪由来間葉系幹細胞の安全性を確認するため、1億個の間葉系幹細胞を投与した患者を対象に、3年間8つの腫瘍マーカーを調査して発がん性を確認した。腫瘍マーカーは患者の血液から間葉系幹細胞の投与前後で各2回測定し比較を行った(患者は男性202人、女性260人)。腫瘍マーカーは男女共通項として、Alpha-fetoprotein(AFP)、Carcinoembryonic antigen(CEA)、Cancer antigen 19-9(CA19-9)、Cancer antigen 72-4(CA72-4)を測定した。さらに、男性はTotal prostate specific antigen(T-PSA)、free/total prostate specific antigen(F/T PSA)を追加測定し、女性はCarcinoma antigen 15-3(CA15-3)、cancer antigen 125(CA125)を追加して測定した。Reference valueは健常者の数値を基準に算定した。AFPは、肝臓がん表示として、0-20 ng/㎖をnormal range、400 ng/㎖以上を肝臓がんで判断し、幹細胞を投与した全ての患者たちの変化はrisk rangeを認めなかった。CEAは、直腸がんマーカーで10 ng/㎖以上になる場合に、がんが形成されるものと示唆されるが、間葉系幹細胞を投与した患者は0.64%から0.43%に低下し、正常範囲を認め、直腸がんとの関連がないことを確認した。CA19-9は、500 U/㎖以上の場合、risk levelと判断される消化管腫瘍細胞であるが、どの患者においてもrisk levelを認めなかった。 胃がんマーカーのCA72-4はrisk rangeが300 U/㎖以上であるが、risk rangeの患者たちは、むしろ正常範囲に低下し、間葉系幹細胞の投与と胃ガンとの関連がないことを確認した。 T-PSAおよびF/T PSAは前立腺腫瘍マーカーで幹細胞投与の前後にいかなる変化も現れなかった。 さらに、CA15-3、CA125のような乳房がん、卵巣がんマーカーもnormal rangeで変化は認められなかった。これらの結果により、1億個の脂肪由来間葉系幹細胞の静脈内投与は、腫瘍が発生する可能性はなく、安全であることが示唆された。